第302回 長野県眼科医会集談会 特別講演抄録
緑内障手術を見据えた点眼薬の使い分け
昭和医科大学医学部 眼科学講座 准教授 齋藤雄太
近年、緑内障点眼薬および配合点眼薬の選択肢が増加し、治療の幅は広がっている。一方で、点眼数の増加に伴うアドヒアランス低下や眼表面障害といった問題も顕在化している。さらに、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)や低侵襲緑内障手術(MIGS)をはじめとする外科的治療の進歩により、病型・病期に応じた治療戦略が求められている。
従来、緑内障治療は点眼治療を最大限行った後に濾過手術へ移行する流れが一般的であったが、近年では早期から外科的介入を検討する概念も提唱されている。また、点眼薬の種類や使用状況が外科的治療の成績に影響を及ぼす可能性も報告されており、点眼治療と手術治療は相互に関連するものとして再評価されつつある。
本講演では、緑内障点眼薬および配合点眼薬の特性を整理した上で、SLTや流出路再建術、濾過手術との関連を踏まえた治療戦略について整理し、緑内障点眼薬の臨床的意義を考察する。点眼治療を単なる保存的治療としてではなく、将来の外科的治療を見据えた“治療設計”としてどのように位置付けるかについて、臨床経験および文献的知見をもとに提示する。