第301回 長野県眼科医会集談会・第59回信州臨床眼科研究会 特別講演抄録
結膜炎の臨床を取り巻く最近のトピックス-新しいガイドラインを踏まえて-
結膜炎は日常診療でしばしばみられる疾患だが,特異的な所見が乏しく,正確な診断とそれにもとづく治療は必ずしも容易ではない。結膜炎には感染性結膜炎と非感染性結膜炎とがあり,治療法が異なるために鑑別が重要である。 感染性結膜炎では臨床的に重要なのは伝染性疾患であるウイルス性結膜炎であり,頻度が高い。COVID-19のpandemic以前には,2015年から新型である54型が流行株の多くを占めていた。54型は角膜病変の重症例,細菌感染重複例そして多発性角膜上皮下浸潤(MSI)が多い特徴がある。近年は56型や85型の新型も国内で流行しており,疫学的な変化がみられる。しかしCOVID-19後には疫学的状況やぶどう膜炎とアデノウイルスの新しい病態も報告されている。また尿道炎に関連した結膜炎の原因としてもアデノウイルスが注目されている。ウイルス性結膜炎診療ガイドライン(2025年版)が改訂され,臨床により直結した情報にアップデートされた。特異的治療薬はまだ導入されていないが,ステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬のMSIへの使用やヨード製剤についてガイドラインが新しく示された。非感染性結膜炎はほぼアレルギー性結膜疾患(ACD)であり,ACDには,軽症で患者数の多いアレルギー性結膜炎と重症型であり,増殖性病変を伴う春季カタル(VKC),アトピー性角結膜炎(AKC)および巨大乳頭性結膜炎があり,その病態や治療は異なっている。ガイドラインでも基盤治療と位置づけられている抗レルギー点眼薬では眼瞼クリームという新しい製剤が上市された。一方VKCやAKCなどの重症型は急性期のステロイド内服,結膜下注射などのリリーバーから鎮静期に入っても,免疫抑制点眼薬を増減し,継続するproactive療法が行われている。Proactive療法における病型ごとの反応性や適性も含めて,行うことも重要である。