第57回長野県眼科フォーラム 特別講演

「小児期からの近視管理:発症予防と進行抑制の最新戦略」

東邦大学医療センター大森病院 講師 松村 沙衣子

小児の近視有病率の急激な増加は全世界的に公衆衛生上の問題になっており、その原因と解決策について早急な対応と介入が必要とされる。留学先では、疫学研究を用いた高度近視眼の眼球形態変化や合併症の研究を通し、リスク回避のために著しい進行を示す小児期の段階的介入を行う重要性について学んだ。現在、当院近視外来にて、近視発症前の小児に対する一次予防対策と近視発症後の小児に対して最先端の治療を提供する二次予防対策、疾患性近視の鑑別を柱として取り組んでいる。
発症前の一次予防では、屋外活動時間の確保やスクリーンタイムの制限(3−5歳:1日1時間以内)を指導する。発症後の二次予防として、低濃度アトロピン点眼による薬理学的治療、光学的治療(多焦点ソフトコンタクトレンズやオルソケラトロジー)、レッドライト療法などがあり、年齢と屈折度数から適切な治療を選択する。抑制効果判定は非調節麻痺下屈折値または眼軸長によって行うが、筆者が開発した近視管理アプリ「ミオログ」は日本人小児のデータに基づく眼軸長評価を簡便に記録・可視化し、治療継続への動機付けに有用である。
本講演では近視進行予防治療に取り組む上で必要な背景、各治療のアップデート、最新機器を用いた治療評価や近視抑制治療の脈絡膜変化の研究内容について幅広く解説する。