第301回 長野県眼科医会集談会・第59回信州臨床眼科研究会 特別講演抄録
高容量抗VEGF製剤の特徴を活かしたnAMD診療
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座 眼科学分野教授 寺﨑 寛人 先生
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)の治療は抗VEGF療法の登場により大きく進歩したが、再発の繰り返しや治療回数の多さは依然として臨床上の課題である。近年、高容量抗VEGF製剤の登場により、より少ない注射回数で病態を安定化させ得る可能性が示されている。本講演では、高容量抗VEGF製剤を活用した治療戦略について概説する。nAMDにおけるVEGF産生量と抗VEGF薬の投与量を物質量の観点から整理すると、理論上は抗VEGF薬が疾患で産生されるVEGFを十分に上回る。一方で、薬剤のRPE透過性や病態のVEGF依存性の違いが治療反応性に影響する可能性が示唆されている。自験例を含む基礎的検討からは、特にRPE下に病変の首座を持つPCVやtype1 MNV、pachychoroid関連疾患において、高容量抗VEGF製剤の有用性が期待される。さらに、抗VEGF単独治療のみならず、病態に応じたPDT併用療法の位置づけについても考察する。PCVやpachychoroid関連疾患では、PDTが脈絡膜血管拡張の改善をもたらし、治療回数の減少につながる可能性がある。高容量抗VEGF製剤の適切な選択と病態理解に基づく治療戦略は、nAMDマネジメントの最適化に寄与すると考えられる。本講演が、実臨床における治療戦略構築の一助となれば幸いである。