第297回長野県眼科医会集談会  一般講演抄録

悪性褐色細胞腫と網膜血管芽腫による増殖硝子体網膜症を合併したvon Hippel-Lindau病の1例

信州大学眼科 富原竜次、北原潤也、中山隼、平野隆雄、村田敏規
信州大学内分泌内科 柴田有亮
信州大学麻酔科 竹腰正輝

【緒言】 von Hippel-Lindau(VHL)病は全身に腫瘍が多発する遺伝性疾患である。褐色細胞腫と網膜血管芽腫を合併したVHL病の患者の増殖硝子体網膜症(PVR)に対して他診療科と協力して硝子体手術を施行した症例の報告をする。
【症例と経過】 56歳. 女性. 20歳時に褐色細胞腫を認めVHLと診断。3度の褐色細胞腫の摘出術を施行されるも再発・転移を認め、以降は経過観察となっていた。 30歳時、 両眼の網膜血管芽腫、 PVRに対して網膜光凝固にて治療されるも左眼は失明。 その後は近医眼科でフォローされていたが右眼の網膜剥離の進展を認めたため当院紹介受診。 褐色細胞腫を合併している患者への侵襲度の高い手術は高血圧クリーゼを引き起こすリスクがあったが, 当院内分泌代謝内科と麻酔科の周術期の厳格な全身管理により、 合併症を生じずに右眼の硝子体手術を全身麻酔下にて安全に施行することができた。 網膜復位も得られ、 右眼矯正視力は術前(0.1)から術後(0.4)まで改善した。
【結語】 褐色細胞腫を合併していたが、 他診療科との協力で合併症を引き起こすことなく眼科手術を行うことができた。 手術を安全に行うためには既往歴の把握や、 他診療科との連携も重要と考える。