第297回 長野県眼科医会集談会・第57回信州臨床眼科研究会・第28回甲信セミナー 一般講演抄録

抗VEGF薬スイッチ後にも生じた再発性眼内炎症の1例

韮崎市立病院 佐藤 志緒理
山梨大学眼科 福田佳子、古藤田優実、櫻田庸一

背景:抗VEGF薬は、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫などの網脈絡膜疾患において重要な役割を果たしているが、合併症の一つに眼内炎症(IOI)がある。今回,nAMDに対するファリシマブ硝子体注射後に眼内炎症を生じ、アフリベルセプト8mgへスイッチ後にも眼内炎症が再発した症例を経験したので報告する。

症例:83歳、男性。両加齢黄斑変性に対して,前医にて右眼にアフリベルセプト2mg14回、ラニビズマブ4回、ファリシマブ2回の硝子体注射を投与し、左眼にファリシマブ2回投与も改善なく当院紹介受診。初診時視力は右(0.3)、左(0.6)、右眼はtype1の黄斑新生血管(MNV)と診断された。右眼はファリシマブを毎月3回連続投与後、必要に応じて追加する治療(PRN)を実施したが、ファリシマブ9回目の投与13日後に右眼の霧視と眼痛を訴え、角膜後面沈着物、軽度の前房内炎症細胞を認めた。抗菌薬とステロイド点眼加療により約1週間で炎症は軽快した。約3か月後に再度滲出性病変が認められたためアフリベルセプト8mgに切り替えたところ、2日後に再度霧視と眼痛を訴え,前回と同様の所見に加え前部硝子体にも軽度炎症が確認された。抗菌薬とステロイドの点眼に加え、トリアムシノロン後部テノン嚢下注射を行い、1週間で炎症は軽快した

結論:抗VEGF薬スイッチ後にも生じた再発性眼内炎症の1例を経験した。
IOIの既往がある症例に対し、同じく第2世代のVEGF阻害薬であるアフリベルセプト8 mgへ切り替える際には、慎重なモニタリングが不可欠である。