第252回長野県眼科医会集談会 特別講演

緑内障診療 -自験例からの考察-

JR東京総合病院  山上 淳吉

  緑内障の診療は、眼圧動態、眼底および視野所見などを根拠として診断し、治療により視野障害の進行が抑制できれば理想的です。緑内障の中には病態の異なるさまざまな病型があり(病型診断)、診断がグレーなこともあり(preperimetric glaucoma・乳頭形態異常など)、また、緑内障にみえるがそうでない場合もあり(鑑別診断)、初診時の診断は非常に大切です。治療は眼圧下降ですが、うまくいっても視野障害が改善することはなく、新しい点眼薬が開発されていますが、思うように眼圧が下がらない例に悩まされることが少なくありません。さらに、視野障害の進行速度は症例により異なり、それぞれに応じた対応も必要となります。もしかすると、こんな面倒なところが緑内障のおもしろさであるのかもしれませんが・・。
  私の緑内障診療ポリシーは、

 ①患者さんを無用に心配させない(かなりの方が自分は失明すると思っています)。
 ②初診時にできる限りの診断を行う(眼圧上昇の原因があれば、その治療が第一となります)。
 ③検査結果をうまく利用し、振り回されない(近年、OCT緑内障が問題となっています)。
 ④目先のことにこだわりすぎず、中長期的な予測に基づいて診療する(検査結果に一喜一憂してはいけません)。
 ⑤過不足のない治療を心がける(処方薬の効果を確認することが大切です)。
 ⑥勘を働かせる(何か変だな・・)。 です。本講演では、自験例を呈示しながら、診断の大切さ・治療のコツなどを述べたいと考えています。

  利益相反公表基準:該当なし