第252回長野県眼科医会集談会 特別講演

症例から学ぶ眼底疾患アップデート

杏林大学医学部眼科学教室  平形 明人

  従来、原因不明の視力障害とされたもののなかには、嚢胞様黄斑浮腫、網膜硝子体牽引症候群、AZOOR、癌関連網膜症、眼内悪性リンパ腫などが隠れていた可能性も十分考えられる。また、主要な失明原因の糖尿病網膜症においては、初診医の診断や程度判定が不十分だったために、適切な治療時期を逸してしまった症例も依然として存在する。
  近年、光干渉断層計(OCT)、超広角眼底撮影、眼底自発蛍光撮影など眼底画像検査の進歩や硝子体手術の適応拡大などで眼底の病態把握はしやすくなり、従来原因不明あるいは心因性視力障害などと診断された症例でも実際の原因が判定できることも少なくないことを経験する。さらにEBMに基づいた眼底疾患の危険因子が明らかになるにつれ、病態の初期病変の検出率や精度も上昇している。
  本講演では、診断に悩んだり、珍しい症例や見逃しやすい病態を有する症例を提示しながら、眼底疾患の診断のポイントや最近の画像診断機器の応用について提示したい。