第246回長野県眼科医会集談会 特別講演

緑内障薬物治療アップデート

日本医科大学眼科学教室 中元 兼二

 先頃、我が国の緑内障診療ガイドライン第3版が日本眼科学会雑誌に掲載されたが、緑内障治療の基本スタイルは変わらない。初版から9年経った現在も、唯一確実な治療は“眼圧を下降すること”である。近年、眼圧日内変動に加え、体位変動、長期変動および眼灌流圧変動と緑内障性視野障害進行との関係を示唆する報告が散見されるようになった。特に、外来眼圧が低い症例において、これらの変動を抑制することは重要である。また、緑内障は超慢性疾患であり、患者の治療へのモチベーションを高めること(アドヒアランス向上)が大切である。最近では、これらを考慮した“より質の高い眼圧下降治療”が求められるようになったといえる。

 一方で、未だエビデンスとしては弱いが、眼圧下降以外の治療として、カルシウム拮抗薬(ニルバジピン)や高脂血症治療薬(スタチン)の内服治療、さらに、本邦でも処方可能になったブリモニジンの点眼治療などの臨床的有用性を示唆する報告も増えており、それらの薬剤への期待が高まっている。

 本講演では、現在報告されているデータを紹介しながら、具体的な薬物治療法について解説する.