第246回長野県眼科医会集談会 特別講演

加齢黄斑変性アップデート

東京女子医科大学眼科学教室 飯田 知弘

 加齢黄斑変性(AMD)は日本でも患者が急増しており、近い将来には欧米に近い患者頻度になることが予想される。近年のAMD治療の進歩は著しく、現在、光線力学的療法(PDT)と血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬の二つの選択肢がある。AMDは治療可能な疾患になり、早期発見・早期治療が重要である。

 VEGF阻害薬は、臨床試験で毎月投与により平均視力の改善効果が確認されている。しかし、臨床現場においては、毎月投与は現実的ではなく、病状に応じて投与間隔を調整することが広く行われている。日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対しては、滲出性病変の改善は高率に得られるが、ポリープ状病巣の縮小・閉塞効果は約1/3とされる。一方で、PDTはポリープ状病巣の閉塞効果が高く1年後の治療成績は良好であるものの、長期的には視力が低下するなどの問題がある。また、VEGF阻害薬で治療効果が得られない症例も比較的多く存在する。さらに、日本人AMDは欧米人とは異なった臨床像を持ち、欧米の考え方をそのまま導入できない。

 それでは、どのような治療戦略でAMDに臨めばよいのだろうか?PDTとVEGF阻害薬の併用療法も含めて、AMDの病態から現時点での治療を考えてみたい。同時に、AMD患者を紹介する際の注意点と病診連携についても考えていく。