第15回甲信セミナー 第30回 ・ 信州臨床眼科研究会 ・ 第241回長野県眼科医会集談会 特別講演

糖尿病網膜症に対する網膜光凝固術の新戦略
―パターンスキャンレーザーの特徴と使用する際の注意点―

東京大学眼科准教授 加藤  聡

 厚生労働省による平成11年度の医療施設調査では網膜光凝固を実施している一般診療所は、前回の平成8年度の医療施設調査時に比較して1.54倍の増加、また、一ヶ月あたりの網膜光凝固術件数も1.52倍の増加となっている。
 このように網膜光凝固術を行う施設および件数は増加しているなか、白内障手術教育が様々な機会で行われている一方、網膜光凝固術に対する教育の機会の話はほとんど耳にすることがない。そのためか、外来診療を行っていると光凝固の適応とは思われない症例に光凝固が施行されている症例や不充分な光凝固のために血管新生緑内障を引き起こしている症例などに遭遇することがある。
 そこで本講演では何となく理解していて、日常診療で多く行っている糖尿病網膜症に対する網膜光凝固術を見直す一つの機会となるようにしたい。内容としては初めに従来の凝固装置にて凝固時に使用する前置レンズと焦点方式の特徴、凝固径の信頼性、着色眼内レンズ挿入眼での光凝固、白内障術後の光凝固法などについて話す。最後に近年網膜光凝固の新しい機種として複数社から、販売されるようになったパターンスキャンレーザーの特徴と使用する際の注意点についても教示する。