第238 長野県眼科医会集談会 特別講演

「加齢黄斑変性の診断と薬物治療について」

日本大学医学部視覚科学系眼科学分野  湯澤 美都子

 加齢黄斑変性には、加齢に伴い黄斑部に脈絡膜新生血管(CNV)が発育し、出血や滲出が生じる滲出型と、地図状萎縮病巣が形成される萎縮型とがあります。診断については、厚生労働省特定疾患網膜脈絡膜・視神経萎縮調査研究班診断基準を紹介します。萎縮型には現在治療法がありません。滲出型では中心窩外のCNVに対してはCNVを覆う強いレーザー光凝固が行われます。中心窩CNVに対しては近年光線力学療法(PDT)が行われるようになりました。PDTは滲出型加齢黄斑変性の特殊型に分類されるポリープ状脈絡膜血管症では短期的には視力の改善が得られます。しかし滲出型全体としてみると視力の維持が得られる治療法として定着しています。2008年、2009年にはPegaptanib、Ranibizumabの2つの抗VEGF(vascular endotheliar growth factor:血管内皮増殖因子)薬が滲出型の 中心窩CNV に対して認可されました。VEGFは新生血管の発生と発育に関係しており、抗VEGF薬の硝子体内投与は有用です。治療についてはPDTの現状と限界、抗VEGF薬の国内外の臨床試験の結果、自験例について述べ、近未来の中心窩CNVに対する治療法について考えてみたいと思います。