第237回長野県眼科医会集談会 特別講演 II

「上下斜視・A-V型斜視の診断と両眼視検査」

眼科やがさき医院 院長 矢ケ崎 悌司

 上下斜視やA-V型斜視では斜筋異常や頭位異常を示すことが少なくない。この頭位異常が両眼視維持を目的とする代償性であるかは、自然頭位での両眼視検査と第1眼位を含むその他の眼位での両眼視検査を比較することによって診断されるが、頭位異常の診断は自然視に近似した状態で検査を行う必要がある。本講演では上下斜視やA-V型斜視の診断に必要な眼位検査、眼球運動検査に加え、大型弱視鏡を用いない両眼視検査について説明し、自験例にて実際に行った手術方針と結果を提示しながら、眼位のみならず頭位異常の改善をも目的とする膜プリズムを用いた術前シミュレーション法についても解説を加えたい。